2025年4月15日

※以下の情報は、Wisefocusを用いたデータ分析に基づく結果です。
2024年SES業界の構造変化とその厳しさを如実に示すものであり、「案件数の減少」×「人材の増加」というダブルパンチにより、競争環境が過去にないほど厳しくなっている。
企業・個人のいずれにとっても、従来型の戦略では通用しない局面に入っており、「選ばれる側」から「選ぶ側」へのシフトが一部で見られる可能性もある中、差別化と適応力の向上が生存戦略の鍵となるでしょう。

「コロナ発症」(2020年)
2020年初頭、コロナウイルスの影響が業界全体に波及。
この時期に両線(案件・人材)が大きく乖離、特に人材側の比率が急減。
「過去30年で一貫していた人材案件比率」(2021〜2023年)
通常は安定していた比率が、2021年以降大きく崩れたことを示唆。人材過多、案件不足の傾向に転換。
「2024年」(右端に囲み)
最新のデータではオレンジ線(人材比率)が青線(案件比率)を上回る場面が出現。
これは人材が案件数を上回っており、競争がより厳しくなっている。


市場が求める人材と営業中の人材とのギャップについて、4つの技術領域(Java、Python、SPA、Cloud)を対象に2020年~2024年のデータをもとに可視化しています。それぞれのグラフは「案件比率(オレンジ)」と「人財比率(青)」の推移を比較しており、市場ニーズと社内のリソースのズレを明らかにしています。
1. Java
Javaは長期にわたり安定的な需要を維持している言語です。グラフを見ると、人材比率が常に案件比率を上回っており、供給過剰が継続していることが分かります。特に2022年中頃に両者が接近する時期はありますが、再びギャップが拡大しています。これは、Java領域はすでに飽和。2025年SES市場、差別化が困難。
2. Python
Pythonについては、案件比率が緩やかに上昇している一方で、人材比率はほぼ横ばいまたは微増にとどまっている状況です。2021年と2023年には案件比率が一時的に急上昇していますが、それに対する人材比率の反応は鈍く、スキル転換や育成が即応できていない様子がうかがえます。PythonはAIやデータ分析分野での需要が高まっており、2025年SES市場、このギャップが課題となると予測されます。
3. SPA(Single Page Application)関連技術
SPA技術(React, Vue, Angularなどを含む)に関しては、2021年以降から案件比率が急増し、人材比率も緩やかに追従している傾向が見られます。ただし、一貫して案件比率が上回っており、特に2022年以降はその差が明確に広がっています。これは、モダンフロントエンド技術の需要急増に対し、育成スピードが追いついていないことを示しています。2025年SES市場、企業がSPA技術を求める中で、営業中人材とのスキルマッチングが難しい状況です。
4. Cloud(クラウド関連技術)
Cloud分野では、案件比率と人材比率がほぼ重なるような動きをしており、4つの技術分野の中ではもっともバランスが取れていると言えます。2022年後半以降、双方の比率が30%前後で推移し、明確なギャップは見られません。これは、クラウド技術が社内でも重点的に育成・採用されてきた成果と捉えることができます。2025年SES市場、このバランスを維持することが重要です。
総括:SESエンジニア技術 = 「市場との適合度」
技術に対して、この分析結果から言えるのは、「技術 = 市場との適合度(フィット感)」という視点が重要だということです。
どれだけ技術トレンドに追いついていても、営業中人材のスキルと市場ニーズが一致していなければ機会損失が発生するからです。
「どの技術を、どのタイミングで、どの規模で育成・補強すべきか」は2025年SES業界共通課題ではないでしょうか?